今年は「ムーアの法則」50周年にあたる年です。ムーアの法則は、「半導体の集積密度は18~24ヶ月で倍増する」というものですが、1971年に登場したインテル初のプロセッサ「Intel 4004」と現在の「Core i5」とを比較すると、その性能は3,500倍、電力効率は90,000倍も向上し、トランジスター単価は60,000分の1に低下したそうです。
Intel 8086 ~ 80286 ~ i386 ~ i486 ~ Pentium・・・と馴染みのある私にもあまりピンとこない数字ですが、ムーアの法則と同じように、1971年から自動車技術が進化したと仮定した場合、車の時速は130kmから48万2700km、燃費は11km/Lから85万369km/Lにも到達する計算になるそうですので、廃車になるまでもはや給油は不要になります。ムーアの法則と同じように高層ビルの高さが上昇したと仮定した場合は、エベレスト(8,848m)の35倍になるそうですが、そこはもう宇宙です。ムーアの法則を宇宙旅行に当てはめると、1969年には3日間を要した月までの移動時間が約1分にまで短縮される計算になるので、とてつもなく速いスピードで進化を遂げてきたことがわかります。
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【写真1】 | 【写真2】 |
かつて、鉛筆についている消しゴム程度の大きさだったトランジスターは、今は肉眼で見ることはできません。この先もこの速度で進化を続けると、トランジスターは原子レベルの小ささに到達するため、ムーアの法則は間もなく終焉を迎えると言われています。この進化は多方面に影響を与え、あらゆる技術の発明に寄与しています。
スマートフォンを1971年当時の技術で製造した場合、マイクロプロセッサーだけで駐車場程の広さが必要になるそうです。次から次へと新製品が発売される中、最近はデバイスを「ウエアラブル」するのがトレンドで、アクティビティを常時記録するライフロガーや、Apple Watchなどのスマートウォッチが人気です。このような革新的な新製品については、性能の向上とコストの低減の恩恵を噛みしめながら、大切に使ってみたいものです。(NK)
【写真1】Intel 386と486DX(1985~1989年頃の製品)。
【写真2】単体のトランジスター(2SC1815)。
参考文書
・インテル、多方面に影響とメリットを提供する「ムーアの法則」が 50 周年を迎える
・ムーアの法則 50 周年 – ムーアの法則が拓いてきた新境地