平成26年5月14日に公布されました特許法等の改正法は、一部を除き平成27年4月1日に施行されます。改正法の概要は、このホームページの「トピックス」にも掲載してありますので参照ください。
平成26年改正法のうち、「意匠の国際登録に関するハーグ協定のジュネーブ改正協定」への加入に関する意匠の改正法については、施行日が平成27年5月13日となっています。これは、日本政府がジュネーブ改正協定の加入書を世界知的所有権機関(WIPO)に寄託したのが平成27年2月13日であり、本協定は寄託から3ヶ月後に日本について発効するためです。
意匠の国際登録制度に関しては、特許庁主催の説明会等が一般向けに開催済みですので、皆さんも良くご存知かと思いますが、ここで、少し私見を交えて補足します。この制度により海外から日本への出願がしやすくなることは確かだと思います。一方、日本から海外への出願における利用においては、国際登録から原則として6ヶ月後にされる国際公表をどう考えるかが一つのポイントとなっています。つまり、実体審査がある国(日本を含む)への意匠登録出願を行う場合、その国での審査前に出願意匠が公表されることは、他人による模倣を防止する観点から出願人が望まない場合があると考えます。そのため、日本から海外への出願では、ヨーロッパやアフリカ等の無審査登録制度の複数国に一度に意匠を出願する場合に国際登録出願を利用することが有効と考えます。
また、国際登録出願における国内出願との実務的な違いとして、提出可能な図面の種類が異なります。例えば、国内出願では、立体の形状を特定するために6面図以外に斜視図及び断面図を用いることや、物品の使用方法等を説明するために、「使用の状態を示す参考図」を添付することが認められています。
一方、国際登録出願では、断面図や参考図が認められていないため、例えば立体形状を特定する場合、斜視図によって記載します。例えば、深い凹部の底や内側の形状に特徴がある意匠について、断面図を使わないで特定するには、正確さに限界があることも懸念されます。今後の特許庁の運用に注目していきたいと思います。(KO)
(参考:特許庁ホームページ)
「平成26年特許法等改正法の施行期日が決まりました」
「ハーグ協定のジュネーブ改正協定に加入しました」