みなさん、タイトル通り、「素晴らしくても特許にならない発明」があるのはご存じでしょうか?
通常、出願された発明は、特許要件を備えているかを特許庁で審査されます。特許要件には、新規性(新しさがあるか)や、進歩性(容易に想到できないか)などがあります。
しかし、新規性及び進歩性を有する発明であっても、特許されないものがあります。その1つが、「人間を手術、治療又は診断する方法」です。いわゆる「医療行為」は、医療行為を円滑化すること等を理由に特許保護の対象になりません。(特許されない発明には、他に、公序良俗違反のものや、自然法則を利用していないもの等があります。)
さて、この話題を書こうと思ったのは、先日扱った案件が、「○○病の治療薬のスクリーニング方法」の発明だったからです。この発明は特許保護の対象でしょうか?
答えは「特許保護の対象である」です。特許庁の資料を確認しました(^^)。その他、関連するものについては、以下のような区分があります(※1参照)。
(特許保護の対象)
・医薬
・医薬の製造方法
・ベクター
・ベクターの製造方法
・細胞の分化誘導・分析方法
・医療機器(ペースメーカー等)
・医療機器の作動方法
・人体から各種の資料を収集するための方法・・・
(特許保護の対象外)
・医薬をヒトに投与する方法
・ベクターを用いて遺伝子をヒトに導入する方法
・医療機器を用いてヒトを手術、治療又は診断する方法
・医療目的で人間の病状等を判断する工程を含む方法・・・
ちょっと話がずれますが、最近話題になったSTAP細胞ありますね。これからの再生医療への貢献が大いに期待されている技術ですが、既に国際特許出願がされているようです(※2参照)。確認してみると、「多能性細胞生成方法”GENERATING PLURIPOTENT CELLS DE NOVO”」とありました。もちろん特許保護の対象です。
いつか「STAP細胞を用いた治療方法」の発明がされるかもしれません。現状では特許保護の対象外ですが、再生医療の分野では、特許保護の対象を拡大する要望が出されており、特許庁での検討もされているようです。難病治療等に対する特許権の行使の制限等は必要でしょうが、将来、「STAP細胞を用いた治療方法」が特許になる日が来るかもしれません。(IK)
※1:ライフサイエンス分野の審査基準について/特許庁
※2:公開公報WO2013/163296 A1″Generating pluripotent cells de novo”/EPO