先日、3歳の息子と一緒に、働く車を紹介する図鑑DVDを見ていたのですが、ブルドーザの紹介場面で「この大型クローラは世界特許を取得しているんだよ」というようなアナウンスが流れてきました。
「世界特許?!」
特許に関わる仕事をしている者として気になる単語です。なぜなら、そのような特許は存在しないからです。
誤解しやすい制度として、「国際出願」が考えられます。
「特許協力条約(PCT:Patent Cooperation Treaty)に基づく国際出願とは、ひとつの出願願書を条約に従って提出することによって、PCT加盟国であるすべての国に同時に出願したことと同じ効果を与える出願制度です(出典:特許庁HP)」
ただし、この制度は出願の部分のみを共通化するもので、特許を取得するためにはさらに国別に手続きが必要であって、国際的に共通な特許権を取得できる制度ではありません。
上記DVDの制作者はとりあえず子供向けに分かりやすい単語を使用したのかもしれません。
ところで、ブログのネタになるかなと、「世界特許」という言葉で検索をかけてみると、商品の広告等で使用されているものにヒットしました。
個人的な印象ですが、効果・機能を直接的に実感し難い分野(例えば美容健康分野)では、「特許」という言葉を使って消費者にアピールすることが多いように感じます。「世界特許」と聞くと、何だかいかにも凄そうです(笑)。
商品を選ぶ際には、存在しない「世界特許」という言葉に惑わされないようお気を付け下さい。
また、ビジネス上、複数の外国で特許を取得することを考えている方には、「国際出願」をご提案いたします。
(IK)