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平成26年度特許法等改正-特許異議の申立て制度について
今回の法改正により「特許異議の申立て」は、何人も、特許掲載公報の発行の日から6月以内に限り、申立てをすることができるようになりました(特許法第113条)。
これに対し「特許無効審判」は、利害関係人のみが、いつでも請求することができるようになりました(特許法第123条第2項)。
なお、施行日は、現時点では決まっていませんが、遅くても平成27年5月14日までに施行される予定とのことです。
ところで、「特許付与後の特許異議の申立て制度」は、平成15年改正前まで存在していました。但し、平成15年改正前の制度(以下「旧制度」といいます。)に対し、今回の法改正による制度(以下「新制度」といいます。)は主に次の3点が異なるようです。
(1)申立書の要旨変更が可能な期間を短縮
(2)全件書面審理
(3)異議申立人への意見書提出機会の付与
(1)について
旧制度では、特許掲載公報の発行の日から6月以内は、申立書の要旨を変更する補正をすることができました。これに対し、新制度では、特許異議申立てを行った後に特許庁より取消事由通知があった場合、それ以降は、申立書の要旨を変更する補正をすることができません。これは審理の迅速化を図ったものと思われます。
(2)について
旧制度では、原則として書面審理でしたが、必要に応じて口頭審理もあり得ました。これに対し、新制度では、全件書面審理ですので、口頭審理はありません。これは異議申立人が当事者として関与する負担を軽減することを目的としたものと思われます。
(3)について
旧制度は、異議申立人に意見書の提出が認められていませんでした。これに対し、新制度では、特許権者による訂正請求があった場合、それに対して異議申立人は意見書を提出することができます。これは旧制度では異議申立人に意見提出が認められていなかったことへの不満を解消したものと思われます。
今回の法改正により創設された「特許異議の申立て制度」は、簡易かつ迅速な審理が期待できるものと思います。今後、もしも新規性又は進歩性等の公益的事由を満たしていない特許を見つけられた場合には、この制度を活用し、迅速な手続きを取られることをお勧め致します。
なお、平成26年度特許法等改正について、詳しい内容は下記のウェブサイトに掲載されています。
特許庁<平成26年度特許法等改正講義ビデオ>
(のび太)