大きなものを小さく・・・小さなものを大きく

  • 2013年08月05日

 こんにちは。SHOです。
 以前、紙から作成したV12型エンジン(https://www.hattori.asia/bkups/blog/2011/12/)を紹介しましたが、また紙工作で興味深いものを見つけました。それは、「ミウラ折り」という紙の折り方です。折り紙の技術は、日本独自の文化です。鶴、亀、風船など子供の時にいろいろ紙を折った思い出がありますね。

 「ミウラ折り」は、紙の対角線の両端に当たる部分を持って紙を自由自在に開閉できる折り方です。写真は、実際に自分で作成した「ミウラ折り」の紙です。写真1の状態から青○印の部分を矢印の方向に動かすと、写真2の状態になります。また、写真2の状態から同じく青○印の部分を矢印の方向に動かすと、写真1の状態になります。実際に「ミウラ折り」を試してみると、とても簡単に開閉できることに驚きました。

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【写真1】【写真2】【写真3】




 「ミウラ折り」の特徴は3つあります。1つ目は、写真で示したように青○印の部分を離すか近づけるかすれば簡単に開閉できるところです。2つ目は、開閉時に山折り谷折りが一定しているため折り目が破れにくいところです。3つ目は、大きい面積を有する平面状部材を小さくできるところです。この「ミウラ折り」は、宇宙構造工学を研究されている東京大学名誉教授の三浦公亮氏が考案した紙の折り方です。三浦公亮氏は、宇宙実験衛星の太陽電池パネルや電波天文衛星「はるか」の大型宇宙アンテナなどの設計を手がけられています。宇宙空間に大型の展開構造物を持っていく場合、重さや大きさが制限される一方、宇宙空間で簡単にかつ確実に展開する必要があります。三浦氏は、このような厳しい条件を解決する方法としてこの「ミウラ折り」を考えついたそうです。この方法は、身近なところで地図などを大きな平面状部材を折りたたむ方法として知られていますし、展開途中の写真3のような形状を利用したタイヤの構造としても特許出願されています(特開2006-160107号公報、特開2011-143891号公報など)。
 一見無関係に見える太陽電池パネルの折り畳み方と地図の折り畳み方とタイヤの構造のようですが、それらの関係を調べてみると本当に興味深いものがあります。
 
 日本の折り紙の技術は、世界から注目されており、「ものつくり日本」を代表する技です。改めて先人の知恵に敬服するばかりです。
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